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EOS C300/1D CのCanon Logを生かす

アロハクリエイティブ 香田ノブヒロ氏

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「映像業界に身を置くようになってから13、4年ですね」と自身の経歴を紹介するのは、アロハクリエイティブの香田ノブヒロさんです。もともとは半導体業界のメーカーや商社に営業として勤めていた経験があり、メーカーの業務用カムコーダーの設計段階から現場の様子を見ていたそうです。「当時から、薄々ながら、いつかは映像を作る側に回りたいなと思ってました」。会社の退職を機に、制作側の立場で活動を開始。コンテンツの企画・制作・版権に関わるようになりました。  「ストリーミングを活用する映像の企画プロデュースをした時に、ストリーミングのチャンネルを立ち上げる段階になって、『映像は誰が担当するのか?』という話になりました。機材を集める担当もしていましたので、その時に私が作りますと手を挙げたんです。ストリーミングも、現在のように誰もが手軽に無料で使えるライブ配信サービスなどなかったので、試行錯誤しながらの取り組みでしたね」。

 このように映像制作に携わるきっかけを話した香田さんでしたが、カメラマンとして撮影も始めるようになったのはキヤノンのデジタル一眼レフEOS 5D Mark IIに動画撮影機能が搭載されたことが大きかったと振り返ります。  「EOS 5D Mark IIが出る時に、公式サイト用のムービー制作とともに、Inter BEEのキヤノンブースで流す映像も依頼されました。実際に撮影してみて、広告などでは活用されていくんだろうなという予感はしていましたが、その後、その映像を見た人から広告用の映像を撮影して欲しいという依頼が入るようになりました」 。香田さんは撮影部分だけでなく、制作予算に合わせて、映像の企画・プロデュースをしていた経験を生かし、企画段階から撮影、編集、納品までを一貫して請けることも多くなっているそうです。

新しいカメラコーデックであっても快適に動作

 香田さんがEDIUSを使うようになったのは、秋葉原のPCショップで旧カノープス製品を勧められたのがきっかけでした。「映像編集用のPCとソフトウェアはどんなものが良いかとショップに相談に行った時に、さまざまなコーデックを扱うことができますよと勧められて導入したのが、EDIUSだったんです。EOS 5D Mark IIのムービーファイルが他社製のノンリニア編集ソフトウェアでは全く動かなくて、EDIUSで読み込んでみたら快適に編集できたんです。レンダリングしたり、他のコーデックに変換しないと編集できないと騒がれていた時期にあって、レンダリングすることなく、しかも2ストリーム重ねて編集できたEDIUSのインパクトは大きかったです。以来、ずっと使い続けています」。

 CPUやGPUが最新スペックでなくても動作することも、EDIUSならではのものと評価しています。「カメラの画質が向上したぶん、エフェクトをいくつも使っていくような編集をせずに、じっくりと画を見せていくような編集を好むようになったということもあり、CPUが最新のものでなくても快適にリアルタイム編集ができてしまいます。最近のノンリニア編集ソフトウェアのデモを見ていると、快適に動作しているように見えて、最新CPUと最新GPUに大容量のメモリ組み合わせていてビックリしますが、EDIUSはそこまでのスペックでなくても、同等以上に快適な環境になっていることが驚きですね」。

Canon LogをEDIUSのカラコレ機能を使用して整える

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 香田さんの撮影機材は、キヤノンのCinema EOS C300とCinema EOS-1D Cを自己保有しています。「最初はEOS 5D Mark IIを使ってデジタル一眼レフムービーを活用してきたのですが、やはりメリット/デメリットはあります。Cinema EOS C300が出た時に、5D Mark IIに感じていたデメリットを解消してくれたので、すぐに購入しました。その後、EOS-1D Cも出てくれたのでこれも購入し、今では撮影内容に応じて2機種を使い分けています。私が担当する撮影では、Canon Logが使いやすいと感じています。制作予算も制作期間も限られ、ディレクターとカメラマンが作品の方向性をしっかり煮詰められないままに撮影に臨まねばならないケースもあります。あまり頻繁にはやりたくありませんが、Logで撮影しておけば、カメラマンが意図して撮ったものからディレクターの望む方向性へと、後からでも多少は修正できるだけの幅を持たせてくれますね」。

 香田さんに依頼される多くの撮影は、大判センサーとCanon Logを組み合わせ、ENG撮影では得られない雰囲気のある画作りが求められます。そのため、Canon Logを使用して行なっています。Cinema EOSが登場した当時は、RAWとどう違うのか、ソニーのS-Logとどう違うのかと混乱もあったそうです。そのため、LUT(ルックアップテーブル)を当てた映像を使って確認したりといった手間も必要になっていましたが、現在ではLogの映像を確認すれば判断がつくほどに解消されてきました。Canon Logを活用しながら色味を作って行く作業をする時に、EDIUSはとても使いやすいと香田さんは話します。

 「Canon Logは、ハイトーンがしっかり残っているので、カメラの液晶モニターで見ていてちょっと飛び気味でちょうどいいと感じています。YUVのカラーコントロールを調整しているだけでも、自分の思っているところに追い込めますね。もちろんグレーディングソフトウェアを使用して、カラーリストがしっかりと色を作っていく方法を否定するつもりはありません。番組制作などで、EOS C300やEOS-1D Cは注目されてはいるものの時間勝負なためにLog撮影を活用してこなかった場合でも、EDIUS内でトーンカーブを調整して色味を素早く整えられるのならば活用が広がりますね」。

 香田さんは、グラスバレーが、Grass Valley HQ/HQXコーデックのMac版も提供を始めたことで、制作がスムースになったと話します。

 「私はEDIUSで編集をしていますが、ディレクターはMac環境で確認しているということが頻繁にあります。Mac版のEDIUSはないし、こういう時の映像確認をスムースにするにはどうしたら良いかととまどっていました。グラスバレーがMac版のHQXコーデックを出したことで、現在はCanon Logの映像をHQXコーデックに変換して、その映像を確認してもらえるようになりました」。

サイネージなどの縦位置編集も可能なEDIUS

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 香田さんは「ムービーは本業ですが、写真とムービーの違いにはこだわってはいない」と言います。「以前、グラスバレーのInter BEEステージでも話したのですが、デジタルサイネージなどは、必ず写真でなければいけない、必ずムービーでなければいけないということはありません。その時は、モデルさんを写真とムービーで撮って、4Kで撮影しておくとWebではこんなことができますよと紹介するデモを行いました」。

 今後は、写真>写真>ムービー>写真というようにカット編集をして、注意を惹きたい部分に動画を活用するような映像の使い方は増えていくだろうと予想しています。

 「デジタルサイネージはディスプレイを縦位置で使うことがありますが、EDIUSは縦位置の動画にも対応しているので便利ですね。『携帯ムービーも当たり前のように使われるようになってきたので、縦位置のムービーも編集できたらいいですね』と要望を出したことがあったのですが、日本で開発をしているからこそ、バージョンを上げてくるたびにユーザーの声を組み上げてくる対応の速さはさすがだと思いました」。

 地上デジタル放送に移行して、そのアナログVHF周波数帯の空き帯域を使用して、限られた地域に放送するV-Lowマルチメディア放送が、2014年夏頃から開始される予定になっています。この放送の電波にIP(インターネットプロトコル)を組み合わせて流し、デジタルサイネージに情報を流すことも検討されています。

 「これまでのデジタルサイネージとは違って、電波を使って限られた地域のデジタルサイネージに一気にコンテンツを流せるようになると、これまでとは異なる動画の使い方も拡がっていくのかなと感じています。放送、プロモーション、デジタルサイネージなど、どの分野での映像制作というこだわりはなく制作をしていますので、これまでにないアプローチの映像の使われ方にものすごく興味があるんです。新しいことに積極的に取り組んでいかないと、これからは生き残っていけないと感じているのかもしれないですね」。

(取材:イメージアイ秋山謙一)

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