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3DCG

03 | 3DCG

3DCGの表現力

3DCGとは、空間や立体など3次元の存在を、コンピュータの画面に描画した画像・映像のことです。
3DCGは次のような場合に効果的に使えます。

・現実には撮影が難しい場合
・現実にはないものを表現したい場合
・非現実的、「アート的」な印象を与えたい場合

現実の代用として、よりリアルな表現を目指すだけでなく、空想空間の表現やアート的な表現手法としての活用も広がっています。

3DCG制作の基本的なワークフロー

3DCGの制作は、「モデリング → 質感設定 → アニメーション → 舞台設定 → エフェクト → レンダリング」の順で作業を進めるのが一般的です。

1.モデリング

モデリング

対象物の形状を作り上げる作業です。
球や円柱などのプリミティブオブジェクトや、補間曲線を利用して物体の形状を作ります。ポリゴンモデラーやスプラインモデラーなど、3DCGソフトウェアによって対応しているモデリング様式も異なります。

2.質感設定

質感設定

物体の透明感やハイライトの強さ、木材や金属などそれぞれの素材が持つ特徴(マテリアル)を設定したり、”PhotoShop”などの2DCGグラフィック・ソフトウェアで作った画像(テクスチャ)を貼り付けたりして、前工程で作った物体に質感を設定する作業です。

3.アニメーション

アニメーション

体の動きや変形を行うためのルール付けや定義を行う作業と、実際に動きそのものを設定する作業に大別されます。
前者には、物体にボーン(bone)と呼ばれる骨組みを埋め込んだり、連結された物体間に親子付けを設定する作業等があります。後者では、動きを定義する時間と位置の情報(キーフレーム)と、動きの軌跡(モーションパス)を設定する作業等があります。

4.舞台設定
ライティング カメラワーク
ライティング カメラワーク

前工程までで作り上げたシーンに、シチュエーションに合った照明(ライティング)を設定したり、カメラの動きやズーム(カメラワーク)を設定して、シーンの構図を決定する作業です。

5.エフェクト

エフェクト

砂ぼこりや火花など、装飾や画面効果を加える作業です。
シーンの主となる物体とは別に制作し、After Effectsなどの映像合成ソフトで合成して完成する場合が多いです。
エフェクトは、3DCG素材だけでなく、実写の映像素材に対しても広く行われる作業工程です。

6.レンダリング

レンダリング

これまで作り上げたシーンを、最終的に映像データとして書き出す計算を行う作業です。
これがCG制作の最終仕上げとなります。

3DCGソフトウェア

3DCGを作成するソフトウェアには、機能も価格も様々なものがあります。

・ホビー・ユーザーに定評のある「Light Wave」「Shade」
・映画やテレビ制作用途にも使われるハイエンドソフト「Maya」「3dsMAX」「Softimage/XSI」
・人物、景観作成など作成対象を特化したソフト「Poser」「Vue5」

LightWave v9 Shade 9 Basic for Mac OS X Maya Complete 8.5

また「Metasequoia (メタセコイヤ)」(モデラー)、「POV-RAY」(レンダラー)といった特定の機能に特化した比較的安価(一部無料)なソフトウェアも存在します。

以上、3DCGについて概説しましたが、これはほんの入り口にしかすぎません。3DCGの勉強を進めていくと、ソフトウェアの使い方だけでなく、撮影や照明、演出方法など、他の章で述べてきた幅広い知識がすべて必要になってきます。「仮想空間におけるビデオプロダクション」と言ってもよいかもしれません。
映像作品でのコンピュータ・グラフィックス(2DCG、3DCG)の役割は今後もさらに高まっていくことでしょう。映像の目的にあったソフトを選び、映像作品をより魅力的・効果的にするC.G.を、是非創ってみてください。

3DCGとグラフィック・カード

C.G.対象物を画面に表示する際、形状や色を一から計算するには膨大な計算が必要となるため、3DCGでは、OSにあらかじめ用意されているグラフィック・ライブラリを利用しています。さらに、グラフィック・ライブラリの計算をPCのCPUとは別に、専用のチップに行わせる場合もあります。このハードウェアがグラフィックカードです。グラフィック・カードは、本格的な3DCGをストレスなく作成するには必須と言ってもよいでしょう。
現在、グラフィック・ライブラリは、「OpenGL」と「DirectX」の2種類が主流です。一般に、OpenGLは正確な表現ができるが計算時間がかかり、DirectXは高速だが正確さではOpenGLに劣る、と言われています。これらはC.G.作成の考え方の違いによるもので、どちらが良いかはケース・バイ・ケースです。
なお、3DCGソフトによっては、どちらか一方にしか対応していないものもあるので、3DCGソフトとグラフィック・カードの相性をよく調べてから購入することをお勧めします。