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録音機材-マイク

03 | 録音機材1-マイク

マイクロフォン、通称「マイク」には様々な種類があります。収録特性の各面から見ていきましょう。

マイクロフォンの分類

収録特性面での分類
周波数特性
ローカットフィルター
ローカットフィルター

マイクロフォンが聴き取れる周波数の範囲と、その感度を表すのが周波数特性です。
原音に忠実に録音するためには、人間が聴き取れる周波数の範囲でできる限りフラットな周波数特性が好ましいわけですが、用途によっては必ずしもフラットな周波数特性が最適とは限りません。
例えばインタビューなど人の声を録音する場合は、人の声の周波数である中音~低音の感度が高いマイクの方が適している場合もあります。逆に、風の強い屋外での録音で風雑音(ウィンド・ノイズ)を低減するために、低周波数域の感度を落とす機能がついているものもあります。これを、ロー・カットフィルターと呼んでいます。

周波数特性
指向特性

カメラのレンズの広角・望遠に相当するのが、マイクロフォンの指向特性です。
無指向性マイクとは周囲360度をほぼ一様に録音できるもの、単指向性(カーディオイド)マイクは正面の感度が相対的に高い特性を持ったマイクです。単指向性をより強くしたのが、鋭指向性、あるいは、超指向性マイクです。単指向性マイクでも横方向の音を完全にカットできるわけではありません。また、指向性が強くなるほど背面側(正面の正反対側)への感度も強くなるので注意が必要です。
超指向性マイクは、撮影現場では「ガン・マイク」、「ショットガン・マイク」と呼ばれます。

指向特性によるマイクロフォンの分類

マイクの指向性と適している用途
アナウンスインタビュー対談会議ドラマ音楽
無指向性(N) ×
単一指向性(U) × × ×
双指向性 × × × ×
その他の収録特性について

・正面感度
正面から与えられた音に対し、そのマイクがどれくらいの電気信号を出力するかを示したのが正面感度です。数値が高いほど出力信号が大きくなります。

・S/N比
信号(Signal)とノイズ(Noise)の比。S/N比が高いほど、相対的にノイズが低く、より性能の良いマイクです。

・出力インピーダンス
出力インピーダンスとはマイクの内部抵抗の大きさです。通常1キロオーム(Ω)程度以下のマイクを「ロー・インピーダンス」、1キロオーム(Ω)を越えるものを「ハイ・インピーダンス」のマイクと分類しています。
ハイ・インピーダンスのマイクには雑音がのりやすいので、長いケーブルを引き回す場合は、ロー・インピーダンスのマイクを使うようにします。

構造面での分類

撮影現場で使用されているマイクロフォンは、主にダイナミック型、コンデンサ型の2つに大別されます。

原理とメリット/デメリット
原理メリットデメリット
ダイナミック型(ムービング・コイル型) 磁界中のコイルの振動を、電気信号に変換するもの 大音圧に強い/電圧供給不要/比較的安価/衝撃、水分に強い 高音の再現性に劣る(中低音が強調される)
コンデンサ型(一般型) コンデンサの静電容量の変化を、電気信号に変換するもの 周波数特性がフラット コンデンサへのバイアス電圧供給が必要/湿度に弱い/比較的高価
エレクトレット・コンデンサ型
(ECM)
半永久的な帯電素子を使ったコンデンサ・マイク 周波数特性がフラット/特に「ぬけ」の良い音質が得られる/小型・軽量/コンデンサ型に比べて電源供給量小/安価 インピーダンス変換回路への電源供給が必要/湿度に弱い

エレクトレット・コンデンサ型って?

エレクトレット・コンデンサ型は、コンデンサ型の一種ですが、半永久的に帯電した素子を用いるため、コンデンサへのバイアス電圧が不要です。インピーダンス変換回路への電源供給は必要ですが、消費電力は小さく、コンデンサ型に比べて小型・軽量であるため、幅広く用いられています。