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編集の技法

04 | 編集の技法

編集は非常にクリエイティブな作業です。映画やテレビの歴史は様々な技法の実験の歴史であり、編修の技法は日進月歩です。しかし、その中でも、「共通理解」として認識されている考え方や技法があります。

連続カットと不連続カット

カットとカットのつなぎは、被写体・時間・空間が連続したショットと、それらが飛躍した不連続なショットの2つのどちらかになります。まったく逆の特性を持つこの2つのカットつなぎをうまく使い分けることによって、映像作品にメリハリやリズムが生まれます。映像だけでなく、音声も連動させるとさらに効果的です。

カットつなぎの種類意味ポイント
前後のカットが連続 スムーズな流れ。
順接(だから、そして、…)
平凡、退屈に感じる場合がある
前後のカットが不連続 突然の飛躍、転換
逆説・並列(しかし、ところで、一方、…)
思い切った不連続・飛躍を作る
音声の連動も検討する

スムーズなカットつなぎ~映像の連続性

カットに連続性があるとは、一連のカット(シーン)が「自然に見える」ということです。
視聴者は映像の中の出来事が目の前でリアルタイムで起きている、と無意識に感じながら映像を見ています。このため、現実の物理法則に反するようなカットつなぎがあると、視聴者は違和感を感じます。

カットの連続性は次のような視点から考えます。

被写体と位置の連続性

例えば、同じ人物の服の色や髪型が突然変わったり(被写体)、テーブルの上の花瓶が瞬間的に移動したりすること(位置)は現実の世界ではありえません。このようなカットつなぎが無いよう、編集時には注意が必要です。(どうしてもそのようなカットをつなぐ場合は映像合成やC.G.などの特殊処置が必要になります。)

スクリプターという仕事

映画の場合は、スクリプターという専門職がいて、ショットごとに人物や情景を克明に記録し、不自然なカットつなぎの悪夢が起きないようにしています。

動きの連続性

走り去る車や、ドアを開ける動作など、動きがあるカットをつなぐ場合は、動きの連続性に注意する必要があります。

動きは、方向と速さに分けられます。
例えば、走る車をカットでつなぐ場合、車が左にフレームアウトした次のカットは、同じスピードで右からフレームインさせるのがもっとも自然です。
方向と速さの2つがカット間で一致していないと、動きが不連続だと感じられ、違和感が生まれます。

時間の連続性

例えば、はるか彼方にいた人物が、次のカットで突然すぐ目の前に来ていると、視聴者は違和感を覚えます。その人物が瞬間的に移動したように感じるためです。
時間の不連続を避けるためには、2つのカットの間に別なカット(「カット・アウェイ」や「インサート・カット」)を挿入するのがひとつの解決方法です。このカットによって時間の流れは中断し、前後の2つのカットが違和感なくつながるようになります。

視点の連続性

視点の連続性とは、カメラポジションに対する制約です。これは「イマジナリー・ライン」の説明とともに、次の項で述べることにします。

明度・色調の連続性

例えば薄暗い部屋の中のように、全体にロー・キーで統一されたシーンの中に突然ハイ・キーのカットをつなぐと、明らかに不自然さを感じます。またホワイトバランスが異なったシーンをつなぐと同じ物が違った色に見えるため、混乱を感じるでしょう。
異なった時間に撮影した素材や、別な場所で撮影した素材、異なるカメラで撮影した素材などを編集する場合は、違和感がなく、一貫性・整合性が保たれるように、輝度や色調を調整します。
また、映像作品全体に特定のテイストを加えるために、演出面から明度や色調を調整することもあります。