ビデオ・フォーマット
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SD (Standard Definition)
SDとはStandard Definitionの略で、地上波アナログ放送などが採用しているテレビの規格を指します。 HD=High Definition、いわゆる「ハイビジョン」方式の登場によって、従来の規格はSDとして区別されるようになりました。
また、世界のSD規格は、NTSC、PAL、SECAMの3つの方式に大別されます。日本や米国が採用しているのはNTSC\(National Television System Committee)で、1953年に米国で制定されたものです。
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規格のいろいろ
NTSCはモノクロテレビの規格として登場し、後にモノクロ放送との整合性を取りながら、カラー信号にも対応するように規格を拡大していった経緯があります。そのため、フレーム数が29.97/秒という中途半端な数字になっています。
一方、主にヨーロッパで採用されているPAL (Phase Alternation by Line)規格は、最初からカラー放送を前提として定められた規格です。25フレーム/秒で走査線本数もNTSCより多くとられています。NTSCに比べて、信号伝送時の色歪みが小さいなど、より優れた規格になっています。(近年はテレビ受像機側の信号補正性能の向上によってPALとNTSCの差は小さくなったと言われていますが。)PALには、ブラジルで使われているPAL-M、南米のPAL-N、イギリスのPAL-Iなどいくつかのバリエーションがあります。
SECAM(Sequentiel couleur a memoire)は主にフランスとその旧植民地、東欧、中東で採用されている規格で、色信号を周波数変調して送信する方法をとっています。
国外で制作されたビデオテープが日本の機器で再生できないのは、NTSC、PAL、SECAM間に互換性がないためです。
NTSC信号のレベル表現と、RGB信号からNTSC信号への変換
NTSC方式では0.714Vを100%の白と定め、これを100IRE(アイ・アール・イー)と表現します。一方、黒レベルの基準(セットアップレベル)には2種類あります。
日本ではセットアップレベルを0IREとしていますが、米国などは7.5IREです。このため、米国で制作された映像をそのまま日本のシステムで再生すると、黒は真っ黒にならずやや灰色がかってしまいます。海外で制作された素材を使用する際はセットアップレベルの違いに注意する必要があります。なお、NTSC規格上は、白レベルは115IREまで許容されています。
RGB-NTSC信号変換(ITU-R BT.601準拠)
PC上の色信号はRGB (Red, Green, Blue)の3つの信号で表され、一般のPCではそれぞれ8ビット(0~255)で表現され、もっとも暗い黒が(0,0,0)、もっとも明るい白が(255,255,255)になります。
ノンリニア編集ではこのRGB信号をビデオ信号に変換しなければなりませんが、この方法として一般的にはITU-R BT.601準拠の方法がとられます。これは次のように対応しています。
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すなわち、コンピュータ上のRGB色空間はNTSC信号の標準信号範囲(0-100%)より広いので、ノンリニア編集でNTSCビデオに書き出す際は、意図せぬ黒潰れや白飛びが起きないように注意する必要があります。0IRE~100IRE内に確実に収めたい場合は、編集ソフトウェア上でNTSC信号範囲内にトリミングして最終書き出します。各編集ソフトには、「NTSCセーフカラー」などの名称で輝度信号をトリミングしてくれる機能がついています。
NTSCのタイムコード
ビデオ編集時に非常に重要なのがタイムコードです。タイムコードは、「時:分:秒:フレーム(HH:MM:SS:FF)」という表示になっています。NTSC方式のタイムコードには、ドロップフレームとノンドロップフレームという2つの方式があります。また、NTSC方式は一秒間に29.97フレームの映像が表示されています。しかし、タイムコード上は近似的に30フレームを1秒とカウントしているので、1秒=30フレームあたり0.03フレームの誤差=0.1%の誤差が生じてしまいます。これを1時間に換算すると下記のようになります。
3600秒x30フレームx0.1%=108フレーム
ドロップフレーム・タイムコード
つまり、1時間あたり108フレームの誤差が生じることになります。タイムコードを現実の時間経過にあわせるためには、1時間あたり108フレーム~約3.6秒を、タイムコードから取り除いてやる必要があります。これが、ドロップフレームです。ドロップフレームでは、「0、10、20、30、40、50分を除いて、毎分最初の2フレームを飛ばす」ことで、実時間経過との差異を補正しています。一方、常に30フレームを「1秒」と考え、実時間の経過との差異(1時間あたり108フレーム~約3.6秒)を無視する方式が、ノンドロップフレームです。編集時にドロップ/ノンドロップの対応を正しく行わないと、映像・音声の尺や同期がずれてしまう恐れがあるので注意が必要です。
デジタル・フォーマット
SD方式の映像・音声を記録するフォーマットには多くの種類があります。特にデジタル・フォーマットのうち代表的なものをまとめました。
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