フィルム・コミッション
04 | フィルムコミッション
フィルムコミッションを活用しよう
「フィルムコミッション」や「フィルムオフィス」という言葉を耳にしたことがある方もいらっしゃると思います。映画、テレビドラマ、CMなどのあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、実際のロケをスムーズに進めるための非営利公的機関です。現在、国際フィルムコミッションに加盟している組織だけでも、世界41カ国に307の団体があり、映像製作の支援を行っています。
フィルムコミッション(フィルムオフィス)は、ロケーション場所に関する情報や、撮影する際に必要な情報の提供、ロケーション時の宿泊、食事、機材、レンタカーの手配などを行ってくれます。組織によっては、公共機関や警察署、消防署などへの撮影許可手続きの支援・代行や、エキストラの手配、撮影進行の支援まで、まさに、ロケーション撮影の「ワンストップサービス」を提供してくれます。映像制作する側としては、まったく頭が下がる思いです。
フィルムコミッションの利用方法
全国各地にフィルムコミッション、フィルムオフィスがあります。各地域での提供サービスの詳細などは、各組織に直接問い合わせてみるのがよいでしょう。
「神戸フィルムオフィス」の場合
今回は、神戸フィルムオフィスを例に、具体的な利用方法を見てみましょう。
- 神戸フィルムオフィス
- http://www.kobefilm.jp/
- 兵庫県神戸市中央区港島中町6-9-1 国際交流会館7階
- TEL: 078-303-2021
- FAX: 078-302-2946
神戸は多様でユニークな景観がコンパクトに集まり、空港、鉄道など交通アクセスも非常によいことから、撮影に適した条件が揃っています。神戸の街で映像ロケが頻繁に行われ、映像プロジェクトの神戸への誘致活動やロケーション撮影に対するワンストップサービスなどを行うことを目的に、2000年9月に開設されました。
神戸フィルムオフィスではロケ撮影の支援を行うほか、市民エキストラの紹介も行っています。また、 具体的な映像の企画(商業映画・テレビドラマに限定)をもって、ロケーション・ハンティングのために神戸を訪れる国内外の映像製作プロジェクトに対して、ロケーション・ハンティング費用の一部を助成する制度があります。
サービスの概要
- 道路・公園などの公共施設や民間施設などの撮影使用許可手続きの簡便化
- 撮影ポイントの紹介など神戸のロケーションに関する各種相談
- ロケーション・ハンティングのセッティング
- 映像製作に関する各種関連業者や神戸滞在に必要な宿泊施設などの紹介斡旋
- 市民エキストラの紹介 など
依頼から撮影まで(基本的なフロー)
- ホームページから「撮影協力依頼書」(pdfファイル)をダウンロード
- 撮影協力依頼書、企画書、プロットなどを添えて提出
- 詳細打ち合わせ(TEL/e-mail/FAXなどを使って、具体的なロケ場所の紹介やロケ現場での詳細などを打ち合わせします。)
- ロケ場所の決定
- フィルムオフィスとロケ場所該当管理者を訪ねる
- 撮影→編集完了後はフィルムオフィスに作品を見てもらいましょう。
利用の際の注意点
- ロケ候補地によっては、事前に十分な調整や打ち合わせが必要な場合があります。撮影直前では対応できないこともありますので、撮影予定日の一ヶ月程度前に依頼するのがベストです。また、連絡をこまめに取り合えることも必須です。
- 企画書・プロットなどで簡潔に作品内容を伝えましょう。また、その作品の完成した後のイメージを伝えることもポイントの一つ。自主映画などでは、完成した作品を映画祭に出品するといったこともしっかり伝えると効果的です。
- ロケーションサービスはコーディネートする会社ではないのでお金を支払う必要はありませんが、紹介された後、その機関や施設などの所有者にお金を支払うケースもあります。
フィルムコミッションを利用するメリット
たとえば、病院などで撮影したいと思った場合、自発的に病院を訪ねてみても門前払いにあうかもしれません。しかし、神戸フィルムオフィスには神戸市の主要な病院のデータが揃っており、紹介という形になると、時間は制限されるとしても撮影させてもらえることが多いです。
ただ、企画書やプロットに説得力がなかったり、病院のイメージを損なうような作風の場合はNGになるケースもあるようです(特にホラーやテロ系など)。
どちらにせよ、許可を取って撮影を行い、作品のクオリティをあげることは、映像製作者として当たり前のことです。また、ゲリラ撮影を行い、公共を乱し、警察などに補導されてしまっては本末転倒。悩む前に、まずロケーションサービスの扉を叩くことを強くお勧めします。
大規模な撮影でなくてもOK!
「フィルムコミッションって、映画やCM製作のような大規模な撮影しか相手にしてくれないのでは?」と、思っておられる方も多いでしょう。しかし、ロケーション候補や宿泊場所探しなど、比較的小規模な撮影でも可能な限り対応してくれます。また、ロケーション場所の写真データベースを閲覧できるホームページもあります。これだけでも、制作者にとっては、非常に有用な情報です。
マナーを大切に!
ほとんどのフィルムコミッションは自治体や商工会議所等によって、基本的に少人数・非営利で運営されており、非常に多忙です。あまり身勝手なお願いはしないよう、くれぐれも注意しましょう。 また、協力を受けた場合は、感謝の印として、エンドクレジットにフィルムコミッションの名前を出すのが礼儀です。