著作権・肖像権
05 | 著作権・肖像権
著作権とは
映像作品のエンディング・クレジットに、「制作・著作 ○○○」等と表記しますが、これは他のクレジットのように単なる名誉や記録のためではありません。その作品の著作権の保有者を表す重要な意味を持っています。
著作権とは、創作物を保護する権利のことで、特別な申請を行わなくても、創作と同時に自動的に発生します。著作権法では「映画の著作物」の保護期間は、公表後70年(創作後70年以内に公表されない場合は創作後70年)とされており、テレビ映画やビデオソフトも、「映画」の範疇に含まれます。
契約書の作成
業務として映像を制作する立場で大切なことは、著作権の保有者が誰であるかを、契約書等で明確にしておくことです。著作権を譲渡した場合は、いくら創作者であっても、無断でその作品を複製・上映・翻訳したり、第三者へ譲渡したりはできなくなるからです。
逆に、映画やビデオソフトなど、他人の著作物を使用する場合は、必要な許可を得ることが必要です。他人の著作権を侵害した場合は、罰金が科せられます。くれぐれもご注意を!
著作権の契約書の作成については、次のサイトが参考になります。
文化庁HP「誰でもできる著作権契約マニュアル」
「パブリック・ドメイン」映像の活用
保護期間が過ぎて著作権が消失したり、何らかの理由で著作権が放棄された創作物などは、「パブリック・ドメイン」と呼ばれます。
パブリック・ドメインの著作物は原則として、自由に使用、複製、上映などを行って良いとされています。ちまたで、「500円DVD」をよく見かけますが、これらはほとんどが、著作権が消失したパブリック・ドメインの映画です。また最近は、ウェブ上でも、パブリック・ドメイン映像を公開しているサイトが出てきています。検索するのは大変ですが、意外な「掘り出し物」が見つかることもあります。映像のネタに困った時は、一度調べてみてはいかがでしょうか。
パブリックドメインの著作であることを表すマーク(注:法律上の効力はない) |
「クリエイティブ・コモンズ」について
近年、創作物に柔軟な著作権を設定して著作権法の制約を回避し、音楽、文章、映像などの創作物の共有を図ろうと言う国際的な活動が始まっています。これが、「クリエイティブ・コモンズ」と呼ばれるものです。
次の4つのマークの組み合わせを使って、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」を創作者が設定し、第三者にどのような使用を許可するかの意思を表示することができるようなしくみです。 クリエイティブ・コモンズを利用すれば、自分の創作物の発信や、他人の著作物の利用がスムーズに行えます。クリエイターの立場に立った「著作権」と言えるでしょう。
クリエイティブ・コモンズ・ジャパン
マーク | 内容 | マーク | 内容 |
---|---|---|---|
表示 (Attribution) 原著作者の表示を求める |
非営利 (Noncommercial) 非営利に限って利用を認める |
||
改変禁止(改変の禁止) (No Derivative Works) そのままの形でのみ利用を認める |
継承(同様に共有) (Share Alike) 2次的著作物は、元と同じライセンスを継承する場合のみ頒布できる |
肖像権について
映像を制作する上で、もうひとつ重要な権利が肖像権です。
肖像権とは、個人の氏名や肖像(姿)を守る権利のことで、全ての人が保有する「人格権」の一部と考えられています。つまり、本人の承諾なしに、その人が映った映像をテレビやDVD、インターネット等で公開することはできないのです。
ロケーション撮影時は背景に判別できる状態で他人が映っていないかも、十分注意しなければいけません。第三者が映ってしまった映像を使いたい場合は、撮影現場ですぐに本人の承諾を得ておくことです。後になってから探し出すのは、ほぼ不可能ですから。
しかし、例えばイベント撮影で画面に映っている全ての人の許諾を得るのは非現実的です。実際、このような「公的な場所」での撮影は、肖像権侵害にあたらない場合も多いとされています。肖像権は日本の法律上の明文はなく、判例によって承認されているもので、あいまいさが残っていると言えるでしょう。
なお、芸能人など「顔が売れている人」の肖像権は、「財産権」と考えられており、一般人の肖像権とは扱いが異なります。侵害については厳しく追及される可能性があります。例えば、大好きなタレントのポスターを映像の背景に使ったりするのは、避けた方が懸命です。
その他の権利
その他、著作権や肖像権の内容は奥が深く、また法律も適宜改正されており、正しく理解するには勉強が必要です。下のサイトなどを参考にして、必要な箇所を調べてみてください。