音素材制作
06 | 音素材制作
ここまで紹介してきたことは、実際には最初に紹介したDAWを使わずとも、編集ソフトウェア上でも出来ることです。
さらに凝った音素材を作る方法を、「音楽による演出」という面からご紹介します。
ところで、DAWって何?
DAWとは、デジタル・オーディオ・ワークステーション(Digital Audio Workstation)の頭文字をとったもので、物理現象である「音」をデジタル・データとして保存、さらには加工するためのシステムの事です。
少し前までは「DAW専用機」が存在し(フェアライト CMIシリーズ等)、1000万円以上するとても高価なものでしたが、今ではPCをベースとしたシステムでそれと同等、もしくはそれ以上のサンプリング周波数での音制作が可能となりました。現在、音楽制作スタジオの多くが、このPCベースのシステムを取り入れています。
以下に、代表的なDAW用のホストアプリケーションをあげます。
・Pro Tools (Digidesign)
・Nuendo (Steinberg)
・Digital Performer (MOTU)
・Cubase (Steinberg)
・ACID (SONY Media Software) *バージョンPro 6よりマルチトラックレコーディング機能実装
演出された音楽素材とは
上述したDAWホストアプリケーションを使用して、どのように音楽を演出できるのでしょうか?
わかりやすいように、具体的なサンプルで見てみましょう。
演出前のムービー
音楽による効果を顕著にするために、ここでは映像自体は単純なもので構成しています。この映像の前半は白・黒の二階調のみで、後半は色彩がついています。この前後半の移り変わりを「展開部」と呼びましょう。そしてエンディングはロゴが登場して終わっています。
「展開部とエンディングのインパクトを強くしたい」と言う意図で演出
このように映像のポイントとなる箇所に、それとシンクロしたM.E.を変えることによって、映像のインパクトも違ってくることがわかると思います。
音楽素材の加工方法
上記の音楽演出内容を、具体的に見てみましょう。
映像の変化を強調 – 「展開部」で転調する。
使用するDAWアプリケーションによって操作方法が異なりますが、音楽素材の転調は「ピッチシフト」という加工方法で行うことができます。音楽的説明は割愛しますが、この「転調」で、映像内容の変化を強調し、盛り上がりを表現することができます。
映像の最後を強調 ~ ワンショットにディレイを付加する
映像作品が「終わった感じ」を出す演出方法に、ワンショット(音楽の終わりを「ジャン!」という音で揃えて終わる)という演出があります。フリー素材にはワンショット用素材がない場合が多いので、自分で創る必要があります。
素材から、最後に鳴らしたい音を切り出し、ワンショット素材を作ります。
このままの状態だと終わりの余韻がまったく無く、切り出した不自然さも残ってしまうので、さらに「ディレイ」というエフェクトをかけます。
この素材を曲の終わりに付け足せば完成です。
このように著作権フリーの音楽素材のファイルだけでも、できる事はかなりあります。もちろん今回の例が唯一の正解ではありません。皆さんそれぞれの、オリジナルな演出方法を探してみてください。
音加工ビギナー向けの耳より情報
音楽の加工の仕方はわかったものの、DAWホストアプリケーションを持っていない、自分には少し高価すぎる・・・、とお思いの方にはこのソフトをおすすめします。
シェアウェア版のMusic Studio Independence/ Music Studio Standard、無償版のMusic Studio Producer というラインナップ。しかも、オフィシャルに書いてあることですが、シェアウェア版も実質無償で使うことができます。「とりあえずDAWアプリケーションを触ってみたい」というビギナーの方にはオススメのソフトです。既存のDAWホストアプリケーションと比べても、機能に遜色は全くありません。
この機能がシェアウェアで(実質無償で)使用できてしまうことは、プロユースのソフトを使っている人にとっては脅威かもしれません。