レンズの特性
01 | レンズの特性
標準・望遠・広角レンズ
標準レンズ
人間の目に一番近い立体感で被写体を捉える事ができるレンズです。人間の目に近いということは、もっとも安心して見られるということです。
構図の基本として、自分のビデオカメラのズームレンズで、この標準レンズの状態がどこにあるかを把握しておきましょう。35mmカメラの場合、一般的には50mmレンズが標準レンズとされています。ビデオカメラの場合は、CCDのサイズによって標準レンズの焦点距離は異なります。
なぜ50mmレンズが35mmカメラの標準?
ライカ社が50mmレンズを「もっとも人間の目に近いレンズ」と位置づけたことに由来します。
その他、主要なレンズには次のような目安があります。
焦点距離 50mm- | もっとも人間の目で見た映像に近い |
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焦点距離 35mm- | 片目の視界に近い |
焦点距離 28mm- | 両目の視界に近い |
焦点距離 85mm- | 凝視した時の視界に近い |
望遠・広角レンズ
最近はほとんどのカメラにズームレンズがついているので、望遠と広角の違いは理解されていると思います。
例えば、同じアップ・ショットでも、広角レンズでカメラを被写体に近づけた画と、望遠レンズで遠くから撮影した画では与える印象は大きく異なります。
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この応用として、例えば自動車が近づいてくるシーンを広角レンズで撮影すると、最初は小さく見えた自動車が、近づくにつれて急激に大きくなり、スピード感や迫力のある映像となります。
絞り(アイリス)と被写界深度(デプス)
レンズには絞り(アイリス)がついています。絞りの大きさを表す数値がF値で、焦点距離とレンズ口径の関係は次のように表すことができます。
F値が小さいほど明るい(光量が大きい)レンズ、F値が大きいほど暗い(光量が小さい)レンズです。ちなみに人間の目のF値は約1.0で、一般のビデオカメラのレンズに比べると非常に明るいレンズと言えるでしょう。
また、絞りには、光量を調整する役割のほかに、被写界深度(デプス)を調節する役目もあります。被写界深度とは、フォーカスがあっていると感じられる範囲のことで、次のような特性があります。
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1. | 絞りが大きい(F値が小さい)ほど、被写界深度は浅くなり、フォーカスが合う範囲が狭くなる |
2. | レンズの焦点距離が長いほど被写界深度は狭くなる |
3. | フォーカスの中心点から前側の被写界深度は狭く、後側に広い(したがって、奥行きのある被写体に平均的にフォーカスを合わせたい場合は、深さ方向の中央より前側にフォーカスを合わせます。 |
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フォーカスが合っていない状態の背景や前景を「ボケ」と呼びます。適度なボケ味を出すことで、メインの被写体を引き立て、画全体の雰囲気を柔らかくする効果があります。
ちなみに、この「ボケ」という用語は、英語(“Bokeh”「ボウ・ケイ」と発音する)にもなっています。